今日は休日。学校も、これといった用事もないため、僕の部屋で臨也さんと二人してのんびりしている。別に街にでてもいいのだけれど、臨也さんがいると静雄さんに会った時が怖い。それに、その手当てをさせられるのは自分なのだ。自分から面倒ごとを作りたくはない。
家に居てもすることがないため、僕はベッドにもたれかかりながら――本当ならベッドでごろごろしながら読みたかったのだけれど奪われてしまった――先日買った漫画を読んでいる。楽しみにしていた漫画は期待していた程おもしろくはなく拍子抜けした。というよりもがっかりした。
一度集中が途切れるとなかなか集中できないもので、どれだけ読み進めようとのめりこむことはできなかった。それならば今はもう読むのはやめようと漫画を閉じ、ベッドを占領している人を見つめる。
臨也さんは僕の視線に気付かず、ベッドに寝転びながら携帯電話のディスプレイをじっと見ている。邪魔をしてはいけないと思い、のめりこむこともできない漫画に再び目を落とした。
「ずるい」
いきなり後ろからぼそりと聞こえた言葉には、主語も何もなかった。
「ずるいずるいずるいずるい」
そしてそれを繰り返す。まるでその言葉でしか気持ちを表現できないかのように。
その言葉は自分に言われてるのか、はたまたここにはいない誰かにむけられているのか。しかし何がずるいのかわからないため、想像するにも限界がある。いつだってこの人の考えは分からないのだと自分を納得させ、また意識を戻す。
「ずるいよ、帝人君」
肩に感じる重み、耳元で聞こえる声、首をくすぐる髪。どれもが慣れ親しんだもので、特に思うことはなかったが、その言葉には疑問を感じる。
「ずるいって何がですか」
別にそんなことを言われるようなおぼえはない。理不尽じゃないかと思っていると
「俺には普段触るなって言うのに紀田君はいいなんて、ずるい」
と返事が返ってきた。どこからそんな話になるのかは分からないが、自分以外が触れるのが気に食わないらしい。
「公衆の面前で二人して転がりあって、こしょばされたんだって?俺だって恋人なんだからさわってもいいはずだよね」
返事を返さないでいると一人でしゃべり始める。臨也さんが言っているのは園原さんと3人で帰ったときのことだろう。なぜ臨也さんがそのことをしっているのかとか、そんなのは聞いても仕方がないだろう。そこまで意識していなかったが、あれは公衆の面前になるのかと今さらながら少し恥ずかしい。でも、あの後公園でアイスふきだしたなぁ、なんて思い出に浸れるぐらいには余裕がある。
「ダメです」
ハッキリ言ってやると僕にくっついたまま騒ぎ始める。ダメだとは言ったが別に触られるのがいやなわけじゃない。今だっておとなしくこの体勢を甘受している。でも、やっぱり
「人前では絶対に触ってこないでくださいね」
アニメ5話の正臣と帝人のやりとりをみて。
臨帝なのにギャグにならない。おかしいなあ。ギャグ書きたい。
10/02/06