今日は臨也さんちに泊まりに来た。泊まりに来たというか、連れてこられたというか、不可抗力というか。
まあそんなわけでお風呂もいただいてあとは寝るだけ。
服はなぜかぴったりのサイズのものが用意されていた。サイズを知っていることについてはもう何も言うまい。でもなぜ用意してあるんだ。
「俺もお風呂入ってくるからゆっくりしてて」
この部屋の持ち主である臨也さんは一言声をかけ浴室に行ってしまった。
僕はと言えば、ひとりリビングに取り残され暇を持て余している。
荷物の中から携帯電話をひっぱりだしいじってみるがある程度いじっていると手持無沙汰になってきた。
「暇・・・」
一度携帯電話を置き、何かないかと周りを見渡すとソファの上のクッションが目に入る。
勝手に触るのはどうかと思ったが大丈夫だろうとクッションを掴み、引き寄せる。するとふわりと慣れ親しんだ臨也さんの香りがした。
それも普段からつけている香水の香りではなくて、抱きしめられた時にようやくわかる程度の彼自信の香り。本人にはできないし、とクッションを抱きしめ匂いをかぐ。
ついつい顔が緩み始めたとき後ろから声をかけられた。
「クッションなんて抱き締めてどうしたんだい、帝人君」
「あ、臨也さん!いつの間に!いや、あの、これは、別に・・・」
慌ててクッションを離すが少し名残惜しい。もう少し抱きついていたかったかもしれない。
「そんなさみしそうな顔しながら置かないの。っていうか人恋しいなら俺の胸に飛び込んでおいで!」
臨也さんは何をおもったのか両手を広げながら近寄ってくる。
普段なら軽くあしらうが、今はそんな気にもならない。
「人恋しいわけじゃなくて、臨也さんの匂いがするなあと」
「え?」
「だから、クッションから臨也さんの匂いがしてて、つい・・・」
「まさかそれで抱きついてたの?」
「悪いですか!」
思わず開き直る。別に悪いことをしてるわけじゃないと思うけど、いたたまれない。
「いや、悪くないけど・・・」
そのまま動きを止め黙ってしまった臨也さんを見つめる。
お風呂あがりだからか髪がまだ濡れているようだ。ぽたりぽたりと床に落ちていく雫の音。顔はいいんだからだまってればいいのに。
「そっか!もうこれ襲えってことだよね!」
何がどうなってそういう結論が出たのかは全くわからないが、嬉々とした表情で近づいてくる。軽やかに近づいてくる姿にこれはまずいと後ろに下がるが、すぐに捕まってしまう。
離れようと体を押してみるがその間にも服の中に手を突っ込み肌に触れてくる臨也さん。
「ちょ、どこ触ってんですか!」
「んー肌スベスベー」
なんか手つきがいやらしいのは気のせいじゃないはずだ。
臨帝難しい。
10/02/27