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それなら最初から

「帝人ー、これやるよ」

そういいながら竜ヶ峰君のお皿に苺を乗せるのは紀田くん。
竜ヶ峰君が苺好きだと知っているからの行動なんだろう。

「全部貰うのは悪いから半分食べて」
「ん」

口を開けて待つ紀田君に自分のフォークで食べさせてあげている。
本人たちは気にしてないですけど、男の子同士でやることじゃないですよね。
そう思いながら自分の分のケーキを食べる。
こうやって誰かと一緒に時間を過ごすことも久しぶりで、それが正しいのかどうかはわからない。
でも、よくある光景でないことは間違いないと思う。

「あ、やっぱりもうちょい食べたかったかも」

紀田君がこちらを見た後つぶやく。
人が食べているのを見たら惜しくなったらしい。

「何?返さないからね」
「なんだよ冷たいなー。杏里、聞いたか今の!」
「もう、しょうがないなー」

なんだかんだいいつつ、また食べさせてあげている竜ヶ峰君。
微笑ましい光景だとは思うが違和感は拭えない。
2つの苺を分け合って食べる必要ってあったんでしょうか。

(一つずつ食べればよかったんじゃ?)


「そういうのは誰もいないところでやった方がいいと思います」
「え、そういうのって?」
「なんだ、杏里。帝人に嫉妬してるのか?なんて罪な俺!」
「正臣、自意識過剰って言うんだよ、それ」

この3人には幸せでいてもらいたいなあと思います。くっつくくっつかないは別として。

10/03/06