Love Festival


Love Festival

※高校生、みんな同じ学校、原作無関係
※校内は40.5の立海イメージ

リョーマは肩からずれるかばんを背負いなおし校門へ向かう。

入学してすぐなどオリエンテーションばかりで大したことは無い。
今日も午前中は学力テスト、午後は体育館での部活動紹介だけだった。
紹介は途中寝てしまったが配布された資料を見る限りめぼしい部活動はない。
それならばわざわざ部活に入ることもないだろうと、部活の見学に行かず帰ることに決めたのだ。

校内は部活に勤しむものや、それを見る新入生の声に満ちていた。
自分と同じように帰宅する者もいたが、新入生の数を考えるとそれは少数派のように思えた。

校舎から出ると中庭に大きな暗幕を広げて作業をする集団が目に入る。
中には暗幕を固定する重り代わりのベンチで休憩している人もいた。
ペンキを使って何かを描いているが、遠目にはよく分からない。
汚れ対策で着ているのはツナギやジャージ。
使い古されて汚れきったベンチコートも見かけられた。

これも何かの部活なのだろうか。
アッシュグレイの髪をした男が勧誘をしているためきっとそうなのだろう。

何にしても自分には関係ない。
勧誘のため女子と話しているアッシュグレイの男の前を通り過ぎる。

「おい、お前。」

男が誰かを呼ぶ。
他にも通行人はいるし、仲間の誰かを呼んでいるのかもしれない。
リョーマは歩みを止めずそのまま歩いた。

「無視ってんじゃねーよ、入学前から説明会に遅刻したお前だ。」
「・・・遅刻してないっすよ。」

入学前の説明会は確かに遅れそうにはなったが遅刻はしていない。
だが自分より後に会場に来たものはいなかったし、声をかけられているのは自分だろう。
自分の名誉のために否定はしたが、この男はなぜそのことを知っているのか。

「そんなことより文化祭スタッフはいんねーか、遅刻魔?」
「だから遅刻してないっていってんじゃん。それと、入らない。」
「あーん?なんでだ。」
「あんたが、ムカつくから。」

人のことを遅刻魔呼ばわりする人のいる集団に入りたくないとだけ言ってリョーマはその場を去ろうとするが、
目の前の男はそれを許してはくれなかった。

「何。」

腕を掴まれ逃げられなくなった。

「ふん。俺様はお前の名前を知らないんだ、仕方ないだろう。」
「だからって他に呼び方あるでしょ。」
「じゃあ名前教えろよ。」

人を遅刻魔呼ばわりした弁解でもしているのか。
それにしては態度がでかいし一人称は俺様だし一方的だしでリョーマの印象がよくなることはない。
しかし腕をとられている以上無視することは出来ない。

「越前リョーマ。」
「リョーマ、か。リョーマ、文化祭スタッフに入れよ。」
「やだ。」

なぜにこうもしつこく勧誘してくるんだ。
そんなに人手が足りていないのか。
だんだんイライラしてくるが逃げられない。

男は何か考えついたようで、携帯電話を出せと言ってくる。
渡さないとまたうっとおしいことになると悟ったリョーマはしぶしぶかばんから携帯電話を取り出し手渡した。
受け取ると自分の携帯電話も取り出し何か操作している。
赤外線を使っているため連絡先の交換をしているのが分かった。

他にも2.3操作してからようやくリョーマに携帯電話が帰ってくる。
画面を見ると、メール受信画面になっていて
"URLにクリックして「跡部王国」にメンバー登録してください"
の文字とURLが表示されていた。

「それ、登録しとけ。」
「は、なんで。てかこれナニ。」
「文化祭スタッフの連絡網だ。登録すれば活動予定なんかが回ってくる。」
「だから、入りたくないんだけど。」
「なら俺様がじきじきに連絡してやろう。」
「わかった!入るから!」

直接連絡が来るなんてたまったもんじゃない。
結局強引に押し切られてしまいその場で登録する。
登録するのにも情報入力がおおくて嫌になる。

登録を済ますと今だとばかりに踵を返す。
また明日と言う男に、行くなんて言ってないんだけどと心の中で呟く。
明日は休日であるため、会うなら学校に来なければいけないのだ。
つまりこの男の思惑通り文化祭スタッフに入るということ。
誰が来るかといういらだちが歩き方に現れ、少し乱雑になる。

「そういえばあんた名前は。」
「あ?言ってなかったか。」

少し進んだところで名前を聞いてなかったと振り返る。
相手はすでに名乗ったつもりでいたのかすこし驚きの表情を見せた。

「文化祭実行委員長、跡部景吾だ。」

じっこういいんちょう。
つまりこれが文化祭スタッフのリーダー。

まだ出会って間もないというのに跡部の俺様っぷりを見せ付けられたリョーマは
他のメンバーに同情を覚えずにはいられなかった。



next…?


文の書き方が迷子。
みんなでわいわいしてるのが書きたかったパラレル。跡部しかでなかった笑
なぜ遅刻しそうだったのを跡部が知ってるのかは入学前のお話が絡むのですが、あまりに導入だったのでボツにしました。
next?とかいいつつ続く気がしません。


簡易設定

・文化祭スタッフ
 文化祭実行委員会ともいう
 文化祭そのものの企画・運営を担当

・跡部王国(アトベキングダム)
 文化祭スタッフ連絡網の名前
 もちろん名付け親は跡部

11/09/23