「ほんと、みかどくんはかわいいでちゅねー」
ぎゅう、と抱きしめられてほとんど身長の変わらない正臣の腕の中におさめられる。
正面から抱きついてきたから息ができなくて背中を叩くと、苦しんでいるのに気づいたのか腕を緩めてくれた。
それでも離れる気はないらしい。
「子供扱いしないでよ。あとその言葉づかい、気持ち悪い」
確かに誕生日が6月の正臣と比べたら、3月のしかも中旬が誕生日の僕は年下に近いのかもしれない。
でも学年は同じわけだし、年下と言われるほど差があるわけでもないのにこの扱いはいったいなんなんだ。
男子高校生に向かってでちゅねーは正直ない。
誰に聞いても同じような答えを得ることができるだろう。
しかし正臣はその反応が気に食わなかったらしく、デコピンをくらわされた。
それでは飽き足らず俺のガラスのハートがブロークンだとかなんとか言っている正臣は相変わらずだと思う。
でも、英語(と呼べるものでもない言葉)の混じった変な日本語を使っている割に国語も英語も成績がいいだなんて世の中不思議で仕方がない。
「いいじゃん別にさー。お前、俺より年下。You see?ってか気持ち悪いは酷くね?」
「年下って・・・。1年も差、ないじゃんか」
「細かいことは気にしなーい」
ニッといたずらっ子のような陽気な笑みを浮かべると、また僕を抱きしめてくる。
今度は息ができないなんてことはないものの、やられっぱなしは悔しくて頬を抓るが、いひゃいいひゃいと情けない声をあげるばかりで効果はなさそうだった。
観念して手をおろし、正臣を覗き込むと幸せそうに笑う顔が見えた。
帝人の誕生日が遅いので、きっと正臣なら弄ってくれるよねってお話でした。
男の子同士がきゃっきゃしてるのすごくかわいい!
初出10/03/12
修正12/07/27